私が弁護士になり、初めて兄弁(上司にあたる弁護士)と裁判期日に出廷した際に、相手方であったご高齢の男性が、裁判の途中でヒートアップしてしまったのか、我々を指差
・・・(続きはこちら) 私が弁護士になり、初めて兄弁(上司にあたる弁護士)と裁判期日に出廷した際に、相手方であったご高齢の男性が、裁判の途中でヒートアップしてしまったのか、我々を指差し、「この悪徳弁護士め!」と怒鳴り、持っていた手提げ鞄を投げようとしました。
私は、自分がようやく弁護士になったのか、と実感すると共に、このような場合に裁判所はどういった対応をするのだろうと不思議に思いました。
裁判所の秩序維持については、裁判所法第71条1項にて、「裁判長又は開廷をした一人の裁判官がこれを行う」ものとされており、同条2項にて、「裁判長又は開廷をした一人の裁判官は、法廷における裁判所の職務の執行を妨げ、又は不当な行状をする者に対し、退廷を命じ、その他法廷における秩序を維持するのに必要な事項を命じ、又は処置を執ることができる」と規定されています。
また、裁判長らは、場合によっては、警視総監又は道府県警察本部長に対し、警察官の出動を要請することもできます(同法71条の2)。
私の場合は、幸いにして担当裁判官が相手方を上手いことなだめ、大事には至りませんでしたが、期日が終わって法廷を出ると、体格の良い裁判所職員の方がすぐ外で待機されていたので、裁判所としても万が一の備えを行っている様子でした。
裁判については、弁護士を入れずにご本人様自身が行う、本人訴訟も当然行うことができます。
しかしながら、裁判における主張は法的な知識が前提となりますし、裁判手続きの進行方法そのものについても知っておかなければ、スムーズな訴訟進行は望めず、徒に時間を浪費してしまうことにもなります。
まして、ご自身で訴訟を行うとなると、感情的になりやすく、法的根拠に欠けた主張であるとして、裁判所の心証を悪化させ、引いては自己にとって不利な判断をされてしまう危険性が多分にあります。
また、三審制であるとはいえ、一度出された判決を控訴審等で覆すのは非常に困難となりますので、取り返しがつかなくなる恐れもあります。
相手方から訴訟を提起されたという方や、ご自身で相手方に訴訟を提起しようと検討されている方は、一度、弁護士に相談することをお勧めいたします。