同乗者の過失について
家族や友人が運転する自動車に同乗している際に交通事故にあった場合に、単に同乗していただけの被害者の過失割合はどうなるのでしょうか。
仮に、追突事故や加害者が赤信号無視をして発生した事故のように、家族や友人が運転する自動車の方に過失が存在しない場合には、同乗の被害者の過失も0%となります。
では、家族や友人が運転する自動車の方にも過失が発生する事故の場合には、どうでしょうか。
この点、最高裁判所の判例(最判昭和42年6月27日)では、「被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係」にある者の過失につき、被害者以外の過失でも、これを考慮して過失相殺できるとされています。
そのため、「被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係」にある者が運転を行い、過失が発生した事故については、運転者の過失割合が同乗していた被害者にも適用されることになります。
「被害者と身分上ないしは生活関係上一体をなすとみられるような関係」にある者とは、簡単にいうと「財布は一つ」といえる関係にある者になります。
そのため、上記の例でいうと、運転をしていたのが一緒に生活を営む家族(妻と夫、親と子供など)の場合には、同乗者にも運転者と同じ過失割合が適用される可能性があります。
他方、運転をしていたのが友人や知人など特に一緒に生活を営む関係にない者の場合には、過失割合が0%になる可能性があります。
但し、上記のような関係にあるか否かについては、個別具体的な事案によりますので、同乗していた自動車が事故に遭い、過失割合が気になるということであれば、弁護士に相談することをお勧めいたします。


